熱中症とは、体の中と外の"あつさ"によって引き起こされる、様々な体の不調であり、専門的には、「暑熱環境下にさらされる、あるいは運動などによって体の中でたくさんの熱を作るような条件下にあった者が発症し、体温を維持するための生理的な反応より生じた失調状態から、全身の臓器の機能不全に至るまでの、連続的な病態」とされています。
熱中症は、熱波により主に高齢者に起こるもの、幼児が高温環境で起こるもの、暑熱環境での労働で起こるもの、スポーツ活動中に起こるものなどがあります。
労働中に起こるものについては、労働環境改善などにより以前に比べ減少してきているとされていましたが、近年の環境条件により増加傾向が伺われます。また、スポーツなどにおいては、一時増加傾向にあり、その後減少に転じましたが、下げ止まりのような状況になっており、依然、死亡事故が無くならない状況にあります。
熱中症というと、暑い環境で起こるもの、という概念があるかと思われますが、スポーツや活動中においては、体内の筋肉から大量の熱を発生することや、脱水などの影響により、寒いとされる環境でも発生しうるものです。実際、11月などの冬季でも死亡事故が起きています。また、運動開始から比較的短時間(30分程度から)でも発症する例もみられます。
安岡(1999)の報告では、熱中症をT度(軽症度)からV度(重傷度)に分類しております。
T度(軽症度)は以前熱痙攣(熱性筋攣縮、熱性こむらがえり)[heat cramps]・熱失神[hest
syncope]・日射病[sun stroke]などと呼ばれたもので、四肢や腹筋などに痛みをともなった痙攣(腹痛がみられることもある:多量の発汗の中、水(塩分などの電解質が入っていない)のみを補給した場合に、起こりやすいとされている)、失神(数秒間程度なもの)、脈拍が速く弱い状態になる、呼吸回数の増加、顔色が悪くなる、唇がしびれる、めまい、などが症状が(運動をやめた直後に多く)見られます。
U度(中等度)は従前熱疲労(熱疲弊)[heat exhaustion]と呼ばれており、めまい感、疲労感、虚脱感、頭重感(頭痛)、失神、吐き気、嘔吐などのいくつかの症状が重なり合って起こります。血圧の低下、頻脈(脈の速い状態)、皮膚の蒼白、多量の発汗などのショック症状が見られたり、脱水と塩分などの電解質が失われて、末梢の循環が悪くなり、極度の脱力状態となったりもします。また、放置あるいは誤った判断を行なえば重症化し、V度へ移行する危険性もあり注意が必要です。
V度(重傷度)は熱射病[heat strokeと呼ばれていたもので、意識障害、おかしな言動や行動、過呼吸、ショック症状などが、U度の症状に重なり合って起こるようになります。ここまでくると自己温度調節機能の破錠による中枢神経系を含めた全身の多臓器障害が見られ、体内の血液が凝固し、脳、肺、肝臓、腎臓などの全身の臓器の障害を生じる多臓器不全となり、死亡に至る危険性も高くなります。
日本体育協会が平成5年に「熱中症予防の原則」として下記の8ヶ条を発表しています。@知って防ごう熱中症、A暑いとき、無理な運動は事故のもと、B急な暑さは要注意、C失った水と塩分を取り戻そう、D体重で知ろう健康と汗の量、E薄着ルックでさわやかに、F体調不良は事故のもと、Gあわてるな、されど急ごう救急処置、です。皆さんもこれらを実行して、くれぐれも熱中症で大事に至らぬようにして下さい。
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